ラファエル前派の軌跡展@三菱一号館美術館
19世紀後半のイギリスの前衛芸術家たちが結成した、ラファエル前派。彼らを支援したジョン・ラスキンの生誕200年を記念して開催されたラファエル前派の軌跡展に行ってきました。

ラファエルなのになんでイギリス?19世紀?と思われる方も、入り口のラファエル前派の軌跡展 見どころガイド ジュニア版を持って会場に入れば大丈夫です。(私ももちろん活用しました!人物もまとまっててうれしい!)
第一章では、1848年にイギリスでアカデミーに反発し結成されたラファエル前派、そしてその後世に多くの影響を与えたジョン・ラスキンの素描や水彩画がラスキンが擁護したターナーの作品をと共に展示されています。
あまり大型の絵が少ない中、ターナーの風景画、「カレの砂浜」は距離感で絵の印象が変わる不思議な作品に感じられました。距離を置いてみるとどこかで見たように感じられるような色彩の移ろいを鑑賞できる一方、近いとその景色の中、小魚を取る人たちの間に入り込んだような没入感があります。
そして、『現代画家論(Modern Painters)』を書き、ターナーを擁護したラスキン自身も素描を重視しています。今回の展示では、ラスキンの描く雄大な自然の姿、緻密な建築の装飾から、自然を重要視したラスキンの観察力とそこから生まれる陰影の表現を堪能できます。素描から自然について学び、絵画について学んだというラスキンの凄さがこれらの作品からも感じられます。

ラファエル前派メンバーのウィリアム・ホルマン・ハント、ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ、ジョン・エヴァレット・ミレイの作品は第二章ラファエル前派同盟で見られます。そして、撮影可能な展示室もあります。

メインビジュアルのロセッティ「魔性のヴィーナス」も撮影可能です。

また、ジョン・ラスキンやロセッティ、ミレイの人間関係についても興味深いです。(複雑…)
公式サイトではこちらもチャートを用意してくれています。(男女関係までは記載されていませんが…)

第一章ジョン・ラスキンから始まる自然中心というテーマから、第二章ラファエル前派の特徴である様式よりもありのままの自然の美しさや、人間の純粋な心をテーマとする作品へ、そして第三章ではラファエル前派周縁、第四章・第五章ではそれぞれ、ラファエル前派第二世代のバーン=ジョーンズとウィリアム・モリスを取り上げています。
ラスキンが正当な評価をし、擁護したことから始まるラファエル前派とアーツ・アンド・クラフツ運動までつながる19世紀イギリスの美術の流れを辿れる展示会でした。
Information
会場
三菱一号館美術館
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-6-2
会期
2019年3月14日(木)~2019年6月9日(日)
開館時間
10:00~18:00(祝除く金、第2水、6月3日~7日は21:00まで)
料金
一般 1,700(1,500)円 / 高校・大学生 1,000円 / 小・中学生 500円