出光美術館で開催中の「染付 ─世界に花咲く青のうつわ展」がとても面白かったのでご紹介します。
この展覧会では17世紀初頭に中国から日本に伝わった「染付(そめつけ)」を紹介したものです。14世紀の元時代の中国で誕生した「青花(せいか)」がそのルーツとなります。近年、中国で青花が誕生した背景に、西アジアの文化と人々の影響があり、その背景には紀元前の遥か昔から西アジア、ローマで愛されてきた青があったとのことです。
そのような青花のルーツを辿る第一章では被害地中海地域やシリア、レバノン、イラン、イラク、トルコの器やタイルを紹介しています。
そして、第二章では中国青花磁器を中心に、西アジアとのつながりを表す青花とその器形のモデルになった金属器を併せて展示しています。図録の表紙にもなっている青花牡丹唐草文八角燭台は、イラクまたはイランで14世紀に作られた銀象嵌燭台(ぎんぞうがんしょくだい)と並べて展示されています。並んだ二つの器を前にすると、時間と場所を超えて、そのつながりを感じられます。他にも皿や壺、文箱などが並べて展示されています。
第三章は中国青花の影響を受けて始まった朝鮮とベトナムの青花です。材料である土や顔料の違いと風土や文化の違いから、中国青花とは異なる雰囲気の作品となっています。
第四章が日本の染付です。「伊万里と京焼ー日本の愛した暮らしの青」と題し、江戸時代から昭和までの青のうつわを紹介しています。
第五章は青だけでない染付として中国の豆彩(とうさい)と日本の鍋島がテーマとなっています。
最後、第六章が「旅する染付」と題され、日本や中国から輸出された染付が欧州の陶磁器に与えた影響を実際に並べられた両者から感じられる展示となっています。文化の違いから微妙に異なる文様も興味深いです。中国景徳鎮窯とフランスのセーブル窯、オランダのデルフト窯の3つの吉祥文扁壺が並ぶ様子は圧巻です。それぞれによく似たフォルムと模様であるため、キャプションを見てまったく異なる作品であることに驚き、解説を読んでその違いに納得しました。
最後、シリアのガラス器、ドイツのマイセン窯の磁器、イランのシリアの陶器が並べられています。時代、地域、材質も異なる5点ですが、丸井形に青色の文様という共通性に、主催者のメッセージが感じられます。
染付をタイトルとしつつも、世界中に広がる青い器の文化の一つ、世界をめぐる青い器の輪として捉えられる素晴らしい展覧会でした。
Information
開催期間 2019年1月12日(土)~3月24日(日)
月曜休館(ただし、1月14日、2月11日は開館)
東京都千代田区丸の内3-1-1 帝劇ビル9階 (出光専用エレベーター9階)
ハローダイヤル(展覧会案内) 03-5777-8600
- 開館時間
- 午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
- 毎週金曜日は午前10時~午後7時(入館は午後6時30分まで)
- 休館日
- 毎週月曜日(ただし月曜日が祝日および振替休日の場合は開館)
- 年末年始および展示替期間
- 入館料
- 一般1,000円/高・大生700円(団体20名以上 各200円引)
- 中学生以下無料(ただし保護者の同伴が必要です)
- ※障害者手帳をお持ちの方は200円引、その介護者1名は無料です
- ※当館に常設展示はございません。