北斎アニマルズ展@すみだ北斎美術館
すみだ北斎美術館で行われている北斎アニマルズ展の内覧会に参加してまいりました。
一押しはかわいい北斎アニマルなんですが、リアルだったりキモかったりと北斎ならではの絵が堪能できました。

展示会は今回から企画展が3階のみとなり、4階の常設展の隣は常設展プラスという、複製画で北斎の生涯を展示する常設展の補強パートとして北斎の実物も交えて「世界と北斎」というテーマで展示を行っています。
北斎アニマルズは3つの章から成っており、第一章は『生けるがごときアニマル』、第二章は『かわいらしいアニマル』、第三章は『絵ならではのアニマル』というテーマです。
リアリティの第一章
第一章の生けるがごときアニマルはリアリティある動物絵が展示されています。
今回、展示会タイトルにアニマルという単語を用いているのは、ラテン語のアニマ=魂、生命からアニマル、アニメーションといった言葉ができているところからだそうです。館長の橋本さん曰く、北斎が魂を込めて描いた動物を楽しんでほしいということでした。
「アニメーションは、魂を込めて描くとモチーフが主人公として動くということから北斎の真髄と考えました。大昔から動物は涅槃図や鳥獣戯画などさまざまなところで描かれています。江戸時代の権力者が動物を飼い、それが民衆のペットブームへと繋がりました。動物のことをもっと知りたいというニーズが民衆に生まれ、若冲、応挙、国芳も動物を描きました。北斎が描いた動物はほかの作家に比べると描いた動物の種類がとても多くなまこまで描きました。森羅万象を描く北斎という姿がうかがえます」(橋本さん)

北斎花鳥版画の傑作と言われる『桜に鷹』は鷹狩の様子を色味も鮮やかに表現しています。


コウモリと鹿で七福神の福禄寿を表しているそう。鹿の描写や富士を背景にした構図が見応えあります。

北斎漫画も数多く展示されていて、こちらの右上のカエルはエミール・ガレの花器のデザインに取り入れられたもの。虫も図鑑を見ているような緻密さです。鳥、動物、魚介、虫、爬虫類、両生類などさまざまな北斎と北斎門下の作品が楽しめます。
ほっこりかわいい第二章
第二章はほのぼのかわいい動物やよくよく見るとかわいらしい動物の絵が集められています。


メインビジュアルの一つである左下の狗猧(えのころ)は子犬のこと。一瞬カワウソかと思ってしまいましたが、その小ささに驚きました。愛くるしさは抜群です。

ウサギは丸い様子が愛らしいです。

鮭を咥える子犬。北斎の弟子の魚屋北溪の作品です。
想像上のアニマル
最後の第三章は絵ならではのアニマルということで、おもちゃとなった動物や物語の動物、今となっては伝説の動物などが集められています。

北斎考案の小紋のデザイン週に描かれた鶴をモチーフとしたデザインです。鶴と花は現代的にも見えます。

曲亭馬琴の『椿説弓張月』に出てくる頭はトラ、体はウシの化物の禍獣(わざわい)。名前からして怖い。

江戸時代、河童は存在すると信じられていたそう。河童にもいろいろな描き方があって、北斎漫画三編の河童は膝抱えて体育すわりをしている様子がどこか悲しげで可哀想な気持ちになります。が。展示室を出た後、衝撃に。


北斎の描く生き物は細部まで描かれていて、印刷物や画面で見た後に実際の資料を見るとその小ささに驚きます。想像上の動物も細部まで実際の動物をモデルに、自分のイメージを練り上げて作られているのだと感じられました。

そして。すみだ北斎美術館の企画展の最後はやっぱり顔ハメパネルですが、今回のやつはすごいです。

まさかの河童!!敢えてこれを持ってくる辺りに、この展示会が目指しているものはかわいいを入り口とした北斎の観察眼と動物作品の種類の多さに対する思いが感じられるようです。
また、今回もコラボ企画でORI Tokyo Cafeさんで特製スイーツが頂けるそう。こちらの狗猧(えのころ)チョコムース、かわいいです。
information
会期 2019年2月5日(火)~4月7日(日)
開館時間 9:30-17:30(入館は17:00まで)
休館日 毎週月曜日(祝日の場合は翌平日)
主催 墨田区・すみだ北斎美術館
アクセス 〒130-0014 東京都墨田区亀沢2丁目7番2号
TEL:03-5777-8600 ハローダイヤル(8:00-22:00)
※企画展室内は撮影禁止です。今回は内覧会ということで、特別な許可をいただいて撮影しています。